森保ジャパン選手選考への疑問。
なぜDFが6人しかいないのか (2ページ目)
U-22だけが次期A代表候補ではない。五輪で金メダルを目標に掲げるのはいいが、世界的には、五輪の金メダルの価値はそう高くない。2022年カタールW杯本番で戦力になりそうな選手は、仲川を筆頭とするJリーガーにもいる。森保監督のバランス感覚を問題にしたい。
招集メンバーの顔ぶれから想像される、サッカーそのものの問題も目にとまる。ディフェンダーが少ないことにも触れずにはいられない。
センターバック(CB)が3人(三浦弦太/ガンバ大阪、畠中、渡辺剛/FC東京)。サイドバック(SB)は3人(佐々木翔/広島、室屋成/FC東京、古賀太陽/柏)。計6人しかいない。
一方、MFは10人にも及ぶ。森保監督は言う。
「3バック、4バックどちらでも戦えるようにシミュレーションしています。ひとつのポジションだけでなく、複数のポジションをこなしてもらいたいと考えています。DFと中盤、中盤とサイド、ディフェンスとサイド、(3バックの)シャドーと(4バックの)攻撃的MFなど、いくつかできる選手が揃っていると考えます。短い時間ですけれど、可能性を探りながらやっていきたい」
思い切った発想ではある。しかし言うは易く、行なうは難しだ。申し訳ないが、筆者には森保監督がそういうサッカーを得意にしているようには見えないのである。直近で言えば、ベネズエラ戦で交代出場の井手口陽介(ガンバ大阪)をサイドハーフで起用したことに、首を傾げたくなった。サイドに適性がない選手をそこで無理に使うことの弊害を見た気がした。
「賢く器用にプレーすることができる中盤の選手が攻守に絡むことができる点が、日本の特徴です。そうしたよさを活かしながら、いろんなオプションを試していきたい」と、森保監督は続けたが、サイドと真ん中、この両方を器用にこなすことができる選手はそうそういない。適性が真ん中にしかない人、サイドにしかない人が一般的な選手像だ。
森保監督が長年採用してきた、ウイングバック1人が大外に張る3バックは、その特徴を象徴するかのような布陣になる。ウイングバックと中盤をともに難なくこなすことができる選手は少ない。限りなくゼロに近いといっても言い過ぎではない。
2 / 3