無様な試合をした五輪代表だが、メダル獲得の有無を語るのはまだ早い (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 連係うんぬんの前に、「もっとメンタルを強くして、アグレッシブに戦わないと。1対1で上回られたのは課題」(森保監督)というお粗末な内容だっただけに、試合後のロッカールームでは、森保監督が「金メダルは、私だけの目標なのか?」と、選手たちに厳しい口調で問いかけたという。

 後半の得点機を逃したFW小川航基は、「周りから、そう(金メダルを目指していると)見られない出来だった。こんなんじゃダメだというのが浮き彫りになった」と振り返る。

 この試合については、正直、フォローのしようがない。たとえ完敗であろうと、どんな試合にも何かしらの収穫はあるものだが、それを拾い出すのも難しいほど、酷い出来だった。

コロンビア相手に0-2と完敗したU-22日本代表コロンビア相手に0-2と完敗したU-22日本代表 しかし、この試合ひとつを取り上げて、東京五輪でのメダル獲得を不安視するにまで話が至るのは、いささか大袈裟ではないだろうか。

 これまでの順調な強化過程を見ていれば、むしろ意外な不出来である。もちろん、反省は必要だが、強化の途上で次のステップに進むときにはよく起こること。こんな内容がいつまでも続くようでは困るが、目くじらを立てて、必要以上にネガティブに考えることはないだろう。

 たとえば、前半の出来がよくなかった段階で、後半開始から堂安や久保に代え、すでにこのチームで試合を重ねているMF三好康児やFW前田大然を2列目に据え、やり慣れたメンバーに戻すことも可能だったはずだ。

 しかし、森保監督がそうはせず、それどころか3バックから4バックへと変更し、前線の枚数を増やすなど、むしろやり慣れていない方向へ舵を切った。後戻りして体裁を整えるより、長期的な視点で前進することを選んだからではないだろうか。

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