U-22日本代表に新戦力が続々。食野亮太郎は初陣ゴールで爪痕残す (2ページ目)
さらに、食野がチームにもたらしたものがある。チーム内競争の活性化だ。
狭いスペースに割って入ってフィニッシュまで持ち込むスタイルは、1トップを争う小川航基(水戸ホーリーホック)、上田綺世(鹿島アントラーズ)、前田大然(マリティモ)らのそれとは異なるもの。「ハーツでは1トップもシャドーもやっています」と語るように、1.5列目でシンプルにはたいて飛び出すプレーも得意だ。
また、シャドーのポジションは、三好康児(アントワープ)、森島司(サンフレッチェ広島)、安部裕葵(バルセロナB)、さらには久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)もいる激戦区。だが、よりアタッカー色の強い食野は貴重な存在だろう。
ポジション争いの活性化をもたらしたのは、食野だけではない。
ボランチとして先発出場した田中駿汰もそのひとり。大阪体育大の4年生で、6月のトゥーロン国際大会で初めてU-22日本代表に選ばれ、2度目の選出となった今回、後半29分に退くまでゲームをコントロールした。
「それまで東京五輪は意識してなかったですけど、トゥーロンのメンバーに入って、自覚と責任を持つようになりました。トゥーロンで『代表に入っても普通にやれる』と感じられたのも大きいですね」と語るボランチは、サンパウロ戦でも丁寧にボールを散らしながら、ときおり見せる鋭い縦パスで攻撃にアクセントをもたらした。
183cmの長身に加えてボールコントロールが的確で、センターバックも高いレベルでこなせるスタイルは、中山雄太(ズヴォレ)、板倉滉(フローニンゲン)と共通するものがある。来季加入が内定している北海道コンサドーレ札幌でポジションを掴み、さらなる成長を遂げれば、すでにA代表を経験するふたりの間に割って入ってくるかもしれない。
キャプテンマークを巻いて3バックの左として先発した渡辺剛(FC東京)と、後半から右ウイングバックに入った菅原由勢(AZアルクマール)も、このチームでのデビュー戦だった。渡辺はコーチングやカバーリングで、菅原は安定した守備から迫力のある攻め上がりで、それぞれ持ち味を発揮した。
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