日本代表23人の妥当性。どこまでベストメンバーは必要なのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 例えば、チーム最年長で間もなく33歳の誕生日を迎える長友佑都は、チャンピオンズリーガーでもある。所属のガラタサライは9月19日、その初戦でクラブ・ブルージュとのアウェー戦を戦う。ミャンマー戦とは別次元の大一番であることは言うまでもない。長友はいわば、日本サッカー界のお宝的な価値を持つ選手なのである。その長友をリスペクトするなら、今回の招集は見合わせるべきだった。

 その理由のひとつとして、日本の左サイドバックは人材豊富であることが挙げられる。U―22の杉岡大暉(湘南ベルマーレ)。さらには小川諒也(FC東京)、松原后(清水エスパルス)、車屋紳太郎(川崎フロンターレ)など、代表レベルとおぼしき選手が多数控えている。テストをするにはおあつらえ向きの、余裕のあるポジションなのだ。

 大勝が期待できる相手に、ベストメンバーをぶつける代表監督はいまこの時代、世界を見渡してもそう多くはいない。時代の感覚から大きくズレている発想なのだ。招集された海外組は正直、どう思っているのだろうか。

 メンバー発表の席上で、海外組の数が増えたことに目を細めていた森保監督だが、この現状をどこまで喜んでいいものか。こちらはかなり疑心暗鬼になっている。数は増えたが、中島翔哉が所属するポルト、堂安律のPSVなど一部を除けば、けっして世界的には強豪とは呼べないチームで、多くの日本人選手が難しい立場にある。

 その足を、代表チームはあまり引っ張るべきではないのだ。W杯予選アジア2次予選は、U-22と国内組、そして余裕のありそうな欧州組で臨むべきではないか。

 いまこの時点で、2022年11月に行なわれるカタールW杯をイメージできている選手は何人いるだろうか。それより、いまは自分の所属クラブで活躍することで頭がいっぱいだろう。所属クラブで試合に出場できなければ、代表への道は閉ざされるのだから。

 とはいえ、代表辞退を口にすることはできにくい。そうした前例の少ない日本では、とりわけ大きな騒ぎになってしまう。選手はいったん招集されたら、参加せざるを得ない状況に置かれる。しかし、代表チームの活動に発生するギャラは微々たるもの。ケガへの保証もない。

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