U‐18代表コーチが気づいた「日本と欧州の育成年代の選手の違い」 (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Newspix.pl/AFLO

――U‐20W杯で韓国に敗れた直後、影山監督が「レベルが上がると試合強度に対応できない。慣れるために大会前に南米とトレーニングマッチをやったりしたが。日常からその差を埋める努力がもっと必要だ」という話をしていたのが印象的でした。U‐18世代も同様なのでしょうか。

「それはまったく同じです。欧州や南米に行かないと得られない環境があるのは、僕たち指導者側の問題であり、とても悔しいです。選手にそれを与えることができていないということですから。トレーニングを含めて、自分たちが与えるものを増やさないといけない。それは誰もが思っているし、今回U‐18に来た選手も、日常から変えないといけないと思ったはずです。

 A代表の選手でも、早く海外に行ったほうがいいと言うし、実際にそうだとは思う。自分だって、たった1年でもいろいろ感じることがありました。でも、それだけを言っていたらダメで、日本での日常を、指導者側としては変えなくてはいけないと思っています。みんなが変えたいと思っているのは事実です。

 でも、時代は変わっているし、日本の進化のスピードは早いと思います。だって、バルセロナで育成されてレアル・マドリードに行く選手が出てきたんですよ。ちなみに彼(久保建英)はヴェルディの幼稚園年代のスクールにも来ていて、当時から本当にすごかった。本来10歳からしか受け入れてないジュニアに、入れればいいのにという声もあったくらいです」

――U‐20W杯はピッチ外から視察されましたね。

「今回、U‐20は見る者の心をつかむ試合をしました。

 もちろん、勝つにこしたことないし、勝たなきゃいけないのが代表ですし、韓国には勝てたはずです。でも、勝てなかったわけだから、そこは悔しさとともにしっかり分析して次に生かしていかないといけない。

 U‐18の選手にも、いいゲームしてベスト16で終わっちゃうのと、韓国のように前半守って後半一発で勝って決勝に行くのと、どっちがいいかではなくて、どっちも取ろうよという話をさんざんしました。育成だから(勝敗に関しては)我慢しなくてはいけないところはありますけど、試合で負けていいわけはない。『崩しがよかったから、勝てなくてもいいよね』とは言えないんです」

 U‐18代表はこのあと、今年行なわれる1次予選、来年の2次予選を戦い、2021年のU‐20W杯を目指す。それまでの間、多くの試行錯誤を重ねながら、選手を発掘し、成長を促していくことになる。



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