ブラジルのレジェンドは久保と中島がお気に入り。「一気にファンに」 (5ページ目)

  • 大野美夏●取材・文 text by Ono Mika
  • photo by Watanabe Koji

「チームワークがあれば、もっと強くなる」
三浦泰年(元清水エスパルス、ヴェルディ川崎など。元ギラヴァンツ北九州、鹿児島ユナテッドFC監督など)

 ブラジルのネイマールのように自分で解決しようという姿勢は、今まで日本に欠けていたものだったから、そういうのが出てきたことはいい。しかし、日本が築き上げてきたストロングポイントを忘れていいわけではない。

 以前は、技術が低いことをチームプレーでカバーしようとした。今、技術力が上がってチームワークは必要ないかと言えば、技術があってチームワークがあれば、もっと強くなる。個の力がある選手たちがお互いをわかり合えば、もっと強いチームになる。

 このチームは準備不足だったというよりも、準備段階でコパ・アメリカのようなレベルの高い大会に出るという、とてもぜいたくな準備をさせてもらったのかなと思う。ブラジルに18歳で渡って、ブラジルを崇拝している僕にとっては、ベストメンバーの日本代表に来てほしかったという思いはある。しかし、リーグが置かれている状況を考えれば、このメンバーで参加して、次につながる経験ができた。

 ブラジルはサッカー王国でありながら、悪かった部分を改善する努力をしてきて、これまでW杯全大会出場、5回優勝という偉業を成し遂げている。ブラジルでさえ、謙虚に悪かったところを反省して改善するのだから、アジアのなかで日本リードしているとはいえ、サボったらすぐに追い抜かれてしまうことを忘れてはいけない。


「FWにもう少しの自信があったら......」
呂比須ワグナー(元柏レイソル、ベルマーレ平塚など、現アトレチコ・ゴイアニエンセ監督)

 20年前に僕が日本代表として参加したパラグアイでのコパ・アメリカを思い出すと、今回の日本はレベルが上がり、南米相手に互角に戦ったと思う。

 チリ戦は、0-4だったけれど、日本にもゴールのチャンスが再三あった。GKと向き合って大きなチャンスが巡ってきた時、FWにもう少しの自信があったら......。自信とは、落ち着きであり、このチャンスはもう巡ってこないと信じられないほどの集中力を発揮すること。それがFWの役目だ。

 ゴールエリアの外からでもいいから、積極的にシュートしてやろうという気迫が足りなかった。ミドルシュートは強く打つだけでなく、いろいろな蹴り方でコースを選んで、ゴールの枠を狙っていくことができたはずだ。そして、ゴール前に来たら、パスをするよりも、自分で決めてやろうとすること。

 上田綺世はもう少し落ち着いてフィニッシュを決めたら良かったと思うが、この経験を励みにこれからに期待したい。

 久保建英はまだ18歳。これからぐんぐん伸びていく可能性を感じた。今回のコパ・アメリカの経験は、彼を大きく成長させるだろう。彼らのような若い選手が育ってきて、堂々と世界の強豪相手に戦う姿を見られて本当にうれしかった。

 日本がエクアドルに勝って、決勝トーナメントでブラジルと当たるのが見たかったね。実際、2者の試合になっていたら、すごくドキドキしただろうな。

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