コパ・アメリカで日本代表が突きつけられた深刻な課題 (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Watanabe Koji

 たとえば、エクアドル戦で日本が見せたサイドからのクロスボールは、前半1本、後半4本の計5本のみ。チリ戦が7本(前半1本、後半6本)、ウルグアイ戦が12本(前半8本、後半4本)だったので、3試合のなかで最も少なかったことになる。相手の実力を考えれば、より深刻にとらえる必要があるだろう。

 しかもクロス5本のうち、相手ペナルティーエリアの両サイドのエリアからマイナスに入れたクロスは0本。ウインガーがサイドをえぐることもなければ、サイドバックが攻め上がってクロスを入れることもなかった。いずれも、サイドを突破せずに試みた横パスに近いクロスか、アーリークロスに限られた。

 4-2-3-1のシステム上の特徴は、両サイドにサイドバックとウイングを配置することで、マイボール時に厚みのあるサイド攻撃を繰り出せる点にある。最大のポイントは、サイドバックとウイングの縦関係のコンビネーションで、2人の関係性を生かしてこそ、効果的なサイド攻撃は実現する。

 しかし今大会を通じて、日本のウイングとサイドバックのコンビネーションからサイドバックがクロスを入れたのは、ウルグアイ戦の59分のシーンが唯一。そのシーンでは、大外をオーバーラップした杉岡が、中島からパスをもらって左サイド深い位置からクロスを入れ、相手GKが弾いたこぼれを三好康児がシュート。日本の2ゴール目が決まっている。

 厚みのあるサイド攻撃がゴールにつながった典型的なシーンで、4-2-3-1のシステム上の特徴を生かしたゴールと言える。

 ところがエクアドル戦では、一度もそれができなかった。これは3試合とも共通する問題だが、その原因は主に2つ考えられる。

 ひとつは、右の岩田智輝も左の杉岡も、純粋な4バックのサイドバックではないこと。高いポジションをとろうとするとき、もともとのスタートポジションが1列前にある3バックのウイングバックと、攻め上がったときに最終ラインに2枚しか残らない4バックのサイドバックでは、攻撃参加の難易度が異なってくる。

 4バックのサイドバックを3バックのウイングバックにコンバートするケースと、3バックのウイングバックを4バックのサイドバックにコンバートするケースでは、どちらの難易度が高いのかは言うまでもない。まして、右の岩田は現在所属する大分トリニータでは3バックの一角でプレーしているだけに、さらに難度はアップする。

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