ブラジル人記者が日本に愛の檄「3-0で勝つべき。もっと悔しがって」 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

「エクアドルのメディアが、我々が敗退したことに怒っていることには驚いた。我々はコパ・アメリカで最も優秀なチームのひとつ、日本と対戦して引き分けた。優勝候補のウルグアイと血で血を洗う試合をしたチームだ。今日、エクアドルは今大会で一番いいプレーをした。日本選手のスピードとテクニックを封じることに成功した。私は誇りをもって国に帰るよ」

 奇跡など起こす必要はなかった。日本は、持てる力をすべて発揮して日本らしいプレーをすればそれでよかった。しかし、エクアドル戦ではウルグアイ戦の50%の力しか出せていなかったかのように見えた。

 多くのブラジル人が、日本とブラジルの対決を楽しみにしていた。コパ・アメリカの決勝トーナメントのひと枠を、非南米チームが得ることは、普通ならあまり快くは思われない。実際、もしカタールが勝ち上がっていたならば、少なからずスキャンダルになっていただろう。しかしそれが日本ならば、誰もが納得したはずだ。

「インテリジェンスで軽快、日本のサッカーは見ていて楽しい。彼らは勝ち進むに値するチームだった」

 ブラジルのメディアは異口同音に、そう日本の敗退を惜しんだ。日本は敗退するにふさわしくないチームだった。南米の人々は日本がコパ・アメリカの舞台から去ってしまったことを悲しんでいる。若く無名のチームが強豪を倒す。それはサッカードリームと言っていい。日本はみんなの心のチームになった。そのプレーで人々から心の国境を外したのだ。

 これが我々、南米の人間から見た日本代表だ。日本のサッカーは日本人が思っている以上にポテンシャルがある。日本人が思っている以上に人々から愛され、期待されている。だから、コパ・アメリカがいい経験になったなどと言わないで、敗退したことを心から悔しがってほしい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る