ブラジル人記者が日本に愛の檄「3-0で勝つべき。もっと悔しがって」
サッカーに関わる仕事に就いてすでに35年以上になる。取材でどこの国に行っても、どの大会に行っても、みんなが私を温かく、笑顔で受け入れてくれる。それは、私がブラジル人だからだ。サッカーの国からやって来たからだ。
「第一に応援するのはもちろん自分の国だが、その次に応援するのはブラジルだ。私の第二の心のチームだ」と言う人にも、これまで何度も出会ってきた。陽気で楽しいプレー、誰にもできないようなテクニック、そんなブラジルサッカーのおかげで、世界の多くの人がブラジルを愛してくれている。
日本の皆さんは、日本もこのブラジルに近づきつつあることをおわかりだろうか?
こうした人々の親しみという気持ちを、ブラジルはW杯をはじめとした国際大会で何年もかけ獲得してきた。しかし日本は、たったの1試合で勝ち取ってしまった。少なくともブラジルではそうだ。今回のコパ・アメリカで、日本はブラジル人が応援する第二のチームとなった。
証拠がある。エクアドル対日本のテレビの瞬間最高視聴率は34%。およそ3500万人のブラジル人がこの試合を見たと推定されている。また日本、エクアドル、パラグアイのうち、ブラジルがどのチームと対戦してほしいかというアンケートには、73%のブラジル人が日本と答えている。
日本対エクアドル戦が行なわれたミネイロン・スタジアムには1万2000人の観客がいた。うち1000人はエクアドルサポーター、500人は日本のサポーターだとして、1万人以上が地元のファンだった。彼らはみな日本を応援していた。この日は地元ベロオリゾンテの子どもたち2500人が招待されていたが、誰から教わったのか、日本語で「ガンバル、ニッポン、ガンバル、バル、バル」と日本に声援を送っていた。
エクアドルと引き分け、コパ・アメリカ敗退が決まった日本代表 photo by Watanabe Koji その彼らが終了25分前になって怒り出した。それは本気で応援していたからに他ならない。日本の先制後、誰もが日本は4-0で勝つと信じていたのに、その後は弱いエクアドルを、日本は攻めあぐねていた。どうしたらいいか、わからないようだった。そしてなにより、日本から「勝ちたい」という強い気持ちが感じられなかった。
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