W杯で苦しむなでしこジャパン。カギを握るのは負傷離脱組の復帰

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 FIFA女子ワールドカップのグループDは、通過順位をめぐって第3戦までもつれた。日本とイングランドは互いに決勝トーナメント進出を決めていたが、通過順位にこだわったのはノックアウトステージ後の対戦相手によるところが大きい。1位で通過し、指定各グループ3位の上位1チームとの対戦になるか、2位となり強豪が集うグループEの1位と当たるか。手にしたい順位は明白だ。

勝ちたいと臨んだイングランド戦に敗れても前を向いた鮫島彩勝ちたいと臨んだイングランド戦に敗れても前を向いた鮫島彩「とにかくイングランドに勝ちたい」と話した鮫島彩(INAC神戸)は、ノックアウトステージを見据えたものではなく、純粋にこの一戦での勝利を欲していた。3月のシービリーブスカップ(She believesCup)のイングランド戦では、サイド攻撃からのクロスであっけなく3失点しており、「あまりにも何もできずにやられた。でも、ここから修正はできるので、この敗戦があってよかったと言えるようにしたい」と這い上がる決意をみなぎらせていた。

 しかし結果は0-2で、またしても完敗。鮫島は「自分たちの布陣が崩れた瞬間にやられている。最後どれだけ踏ん張れるのかは、修正できると思います」と、また新たな課題に向き合う姿勢を見せた。

 対するイングランドは、フィリップ・ネビル監督が「日本戦のために考えたローテーション」と言うように、グループリーグ3戦を完璧にコントロールしていた。日本が前半にペースを掴み切れなかったのは、イングランドのスタメンが想定と異なっていたため、対応に戸惑ったのだろう。

 日本のイングランド対策は、サイド攻撃のボールの出どころを抑えることだった。この日、左の遠藤純、右の小林里歌子(ともに日テレ・ベレーザ)の両サイドハーフと、岩渕真奈(INAC神戸)、横山久美(AC長野パルセイロレディース)の2トップには縦パスの起点封じの任務が与えられた。

 当然、前線から積極的にプレスをするため運動量は多くなる。そこへボランチも連動してサポートに入り、守備では一定の効果はあったと言える。攻め込まれる時間帯もあったが、サイドからの安易な崩され方は、前回対戦時から激減していた。

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