チリに大敗した日本。その「差」は
パスワークの質の違いにあった (3ページ目)
とはいえ、繰り返すが、安部と三好の投入でパスワークは立体的で多彩になった。両SBとの連係不足は相変わらずだったが、サイドの深い位置にボールが運ばれるようになった。
後半25分には、1トップ下で先発した久保建英(レアル・マドリード)から左の安部にボールが渡り、その折り返しを上田が狙うというチャンスが生まれるなど、日本の攻撃はいい感じになっていった。しかし、前のめりになれば反撃も食う。試合は時間が深まるにつれ、ノーガードの撃ち合いの様相を呈した。
チリに3点目が生まれたのは後半37分。右の深い位置からMFチャルレス・アランギスが折り返したボールを、サンチェスがヘディングで押し込んだゴールだった。チリのパスはこの時も計9本つながった。競り合いのボールを含めれば10本を超える。そしてこのパスワークにもサイド攻撃が絡んでいた。
4点目が生まれたのはその1分後。キックオフのボールがチリに渡るや、ディフェンスラインの背後を突かれ、バルガスにこの日2点目のゴールを奪われた。
試合後の森保監督は「それでもチャンスは作れた」と強気を装ったが、チリと日本とチャンスの質が本質的に違っていたことは事実なのだ。チャンスは作った。決定的なチャンスもあった。だがいずれも、ゴールが決まっていて不思議ではないチャンスとまでは言えなかった。
チームとしてパスをつないで意図的に崩したシーンは、先述の久保→安部→上田と渡った後半25分のプレーぐらいに限られた。
繰り返すが、見たいのはパスワークの中にサイド攻撃が絡むサッカーだ。活躍を期待したい選手はズバリSBになるが、今回それらしき選手は選ばれていない。カウンター系のサッカーでパスサッカーをしようとしている感じなのだ。それが2戦目(ウルグア戦)、3戦目(エクアドル戦)の注目ポイントになる。
チリのサッカーから学ぶことは多い。チリはこの試合を4-3-3で戦ったが、時に3バックを採用する。しかし、それは森保式3バックとは異なる。その「解釈」の差が日本の4バック(4-2-3-1)のサッカーにも現れてしまった。そんな気がして仕方がない。
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