「韓国の久保建英」らタレント豊富な宿敵にU-20日本代表はどう挑む (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 また、自陣に押し込まれる苦しい状況が続くときには、前線のオ・セフンをターゲットにしたロングボールも有効だった。彼に放り込めば、確実にヘディングで競り勝ってくれることは、韓国の戦いを楽にしていた。

 とはいえ、警戒すべきは彼らだけではない。2トップと同等か、それ以上に要注意なのは、貴重な追加点を決めたチョ・ヨンウクだろう。2年前の前回大会にも飛び級で出場していたチョ・ヨンウクは、運動量豊富で、機を逃さないスペースへの飛び出しが抜群だ。2トップばかりに注意を払えば、痛い目に遭いかねない。

 アンカーのMFキム・ジュンミン、センターバックのDFキム・ヒュンウを中心とした守備も、今大会3試合で2失点と安定。初戦のポルトガル戦を黒星でスタートしながら、試合を重ねるごとにチームとしての完成度が高まっている様は、日本に通じるものがある。

 対する日本も、グループリーグ3試合で、失点は初戦のエクアドル戦での1点のみ。ディフェンスは計算できる状態にあり、点の取り合いは予想しにくい。韓国とは我慢比べの展開になるだろう。

 そうなると、どちらがワンチャンスをものにするかの1点勝負になりそうだが、日本にとって痛いのは、イタリア戦で負傷したFW田川亨介、MF斉藤光毅がチームを離脱したことだ。爆発的なスピードを持つ田川と、切れのいいドリブルが武器の斉藤光。ワンチャンスを生かすにはうってつけのふたりを一気に失ったことは、かなりの痛手である。

 しかしながら、日程面では、日本にアドバンテージがある。日本は韓国よりも2日早くグループリーグを終え、中5日で決勝トーナメント1回戦を迎えるのに対し、韓国は中3日。今大会の日本は、攻守の切り替えの速さと、ボールを奪いにいく際のプレー強度の高さが生命線となっており、コンディションを高く保つうえでも日程面での優位性は見逃せない。

 韓国のチョン・ジュンヨン監督も、「日本でも、他の国でも、相手がどこかは重要ではない。すぐに試合があるので、コンディションを整えたい」と話していたが、それが本心だろう。

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