U-20W杯、がむしゃらに戦った日本がイタリア戦でこうむった代償 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 しかしながら、まだ出場機会がないMF喜田陽や、3試合で出場時間が10分程度のFW原大智なども控えているのだ。「持っているものを1試合ごとに出し、上に勝ち上がりたい」(影山監督)というのなら、このイタリア戦には、もっとゆとりを持って臨んでもよかったのではないだろうか。

 結果的に、よりゆとりのある考え方で試合に臨んだイタリアが、1位通過と主力を休ませることの"二兎"を得た。一方、がむしゃらに臨んだ日本は、1位通過を逃したばかりか、主力をふたりも失った。

 DF菅原由勢が「ワールドカップで負けなしは、選手としてはポジティブなこと。内容もだんだんよくなっている」と語るように、試合内容自体は悪くなく、選手が気分よく決勝トーナメントに向かえるのは救いだが、日本がこの試合で負ったダメージは、決して小さくない。

 次戦の出場に不安を抱える選手が増えるなか、望んでいなかった2位通過が、決勝トーナメント1回戦まで中5日という試合間隔を与えてくれたのは、何とも皮肉な話である(1位通過なら中3日だった)。

 影山監督が「試合ごとにパフォーマンスは上がっている」と話すように、日本の選手たちは非常にいいプレーを見せている。何もできなかったエクアドル戦の前半を思えば、ピッチに立つ様子はすっかり見違えた。他のグループの試合を見ても、突出した力を持つチームはなく、日本も十分に上位進出の可能性があるのではないかと感じられるほどだ。

 しかし、だからこそ、この試合の使い方がもったいなかったように思う。

 イタリア戦を、いい意味での"消化試合"にする余裕があってもよかったのではないだろうか。それは決して結果論ではなく、試合前から感じていた疑問であり、不安である。

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