U-20W杯、がむしゃらに戦った日本がイタリア戦でこうむった代償 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 影山監督は「この1試合は、イタリアに勝って、1位で(決勝トーナメントへ)行ってやろうという意識だった」。キャプテンのMF齊藤未月もまた、「監督から話もあったし、自分たちも、(第2戦が終わった時から)そう思っていた」。

 とはいえ、日本も実質的には2試合を終えた時点で、決勝トーナメント進出が決まっていた。イタリアに勝てば1位通過、引き分けなら2位通過。負けたとしても、よほどの大敗でなければ、少なくとも3位での通過はほぼ間違いなかったのである。

「イタリアに勝って1位で行ってやろう」の心意気はあっぱれだが、それがはたして最善策だったのだろうか。

 サッカーという競技が、週1試合のリーグ戦を基本にしていることを考えると、約1カ月間で最大7試合を戦わなければならない今大会は、かなり過酷な日程である。影山監督は「中2日で3試合は、Jリーグでもなかなかない。疲労がないと言えば、ウソになる」と認め、齊藤未もまた、「中2日で3試合は、プロになって初めて」と語る。

 つまり、本当に準決勝や決勝まで勝ち上がろうと思うなら、いかに疲労の蓄積を抑えるか。それが、非常に重要なカギとなる。その意味で言えば、日本は選手をうまく使い回しているとは言い難い。

 そのうえ、これは予測不能なことだったとはいえ、3試合連続で先発出場したFW田川亨介、MF斉藤光毅がこの試合でケガを負い(とくに田川は、筋肉系のケガだ)、次戦の出場が難しくなったことは痛恨だった。

 しかも、山田も含め、3試合連続先発出場した選手のうち、3人が第2戦までにイエローカードをもらっていた。要するに、決勝トーナメント1回戦で出場停止となるリスクも、さして考慮はされていなかったことになる。ふたりの負傷者を出したうえ、累積警告で出場停止となる選手まで出ていたらと思うと、ゾッとする。

 もちろん、外からではチームの内情をうかがい知ることはできない。

 この試合では、MF郷家友太、MF藤本寛也、FW宮代大聖が、試合出場はおろか、試合前のアップにも参加していなかった。影山監督は「先のために今日はスキップさせた。次はOKとは軽々しく言えないが、ケガはよくなっている」と話すにとどめ、彼らの状態について詳しくは明かさなかったが、実際のところ、選手のやりくりは火の車なのかもしれない。

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