内田篤人のブラジルW杯コロンビア戦。満身創痍で「もう走れなかった」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by JMPA

 3月22日、日本代表が、カルロス・ケイロス新監督の初陣として主力メンバーをほぼそろえたコロンビアに0-1で敗れた。善戦といえば善戦だが、見せ場らしい見せ場を作ることはできなかった。親善試合だからといえばそれまでだが、両チームともに、過去の2戦ほどのインパクトはなかった。

 コロンビアとは2大会連続、W杯の本番で対戦している。昨年のロシアW杯では初戦で対戦し、2-1で日本が勝利を収めた。短期決戦においては、精神的な意味合いにおいても、また勝ち点計算のうえでも、初戦の重要性は高い。しかも、実力でははるかに及ばない相手にどうにか勝利したことが、日本の決勝トーナメント進出につながった。

 この勝利がことさらに印象深かったのは、さかのぼることさらに4年、ブラジルW杯での苦い敗戦の記憶があるからだろう。ちなみにブラジルW杯のコロンビア戦先発メンバーで森保ジャパンに招集されたことがあるのは、吉田麻也、長友佑都、香川真司、青山敏弘の4人。一方のコロンビアも、今回のメンバーで2014年の代表はハメス・ロドリゲスとGKカミロ・バルガスの2人だけだった。

惨敗したブラジルW杯コロンビア戦に出場した内田篤人惨敗したブラジルW杯コロンビア戦に出場した内田篤人 この時、日本はグループリーグの第3戦で対戦。コロンビアはすでに2勝しており突破を決めていた。日本は1分1敗で、勝利すればまだ突破の可能性は残されていた。だが、17分という早い段階でPKによる先制を許すと、前半終了間際に岡崎慎司のダイビングヘッドで同点に追いついたものの、後半に3失点して大きく引き離され、W杯からの敗退が決まった。

 後半に3失点したこともさることながら、この試合には、無力感に苛まれるような屈辱的な要素がいくつもあった。

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