プチサプライズもあった森保Jの顔ぶれ。福田正博が監督の狙いを読解 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 安西は、サイドバックでもサイドハーフでも左右両方でプレーできるユーティリティーと推進力がある。インテンシティの高さも備え、国際舞台でもしっかりプレーできるだけの力がある。サイドバックは人材難なだけに、安西が結果を残せれば、森保監督にとってはプラス材料になるはずだ。

 今回の招集メンバーでFW登録は武蔵と鎌田の2選手。彼らには、「大迫勇也の代わり」を求める声もあるが、プレースタイルが大迫とはまったく異なるだけに、同じ役割は求められないだろう。

 森保監督の基本布陣は4−2−3−1と思われているが、アジアカップでは、実際は大迫と南野拓実(ザルツブルグ)がツートップになる4−4−2に近かった。武蔵はスペースに飛び出すことでよさを発揮できる選手で、鎌田にしても南野にタイプが近い。彼らが2トップで起用されたときに、どうやって特徴を発揮しながら、ゴールにつなげるのかをチェックしたい。

 そして、最大の注目は香川真司だ。トルコリーグのベジクタシュ移籍後のパフォーマンスは、復調を印象づけている。30歳になった香川が、その経験と技術を発揮できれば、日本代表の攻撃陣の中心に返り咲くチャンスはあると考えている。これまで南野がやってきた1.5列目的な位置で出場した場合、香川が右の堂安律(フローニンゲン)、左の中島翔哉(アル・ドゥハイル)らと、どんなコンビネーションを見せ、攻撃を織りなしていくのか楽しみだ。

 このほか、宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)や小林祐希(ヘーレンフェーン)など、若手からベテランまで幅広く招集された。これは3年後のW杯に向けて、多くの選手に森保監督のサッカーがどういうスタイルかを伝えたいという狙いに加え、ピッチ内外での選手個々の振る舞いなども見たいということだろう。

 合宿でスタイルを確認しながらチームに浸透させることが大切である一方、選手個々のパーソナリティーを把握することも重要になる。代表チームというものは、上から順番にうまい選手にポジションが与えられるわけではない。スタメンでもベンチでも、常にチームのために働ける選手なのか、サブ組になったとき、不協和音の原因にならないかなど、さまざまな観点から選手の特徴を掴んでおくことも監督の仕事になる。

 新たな選手を多く招集した今回の親善試合では、「全員使いたい。ひとつのポジションに2人いる。1、2戦目でメンバーを入れ替えたい」と森保監督は発信しているが、実際に試合が始まってみれば予定どおりにいかないこともある。

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