スペインの慧眼がアジア杯の日本に及第点。「問題はセットプレー」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Sano Miki

 前半の日本は、戦術的にバランスが取れたカタールとは対照的に、攻守に乱れが出ていた。それに引きずられるように、個人の技術も単純なミスも目立った」

 エチャリはそう言って、前半のプレーを厳しく評価したが、「後半は日本がプレーを改善させた」と語っている。

「後半は酒井宏樹(マルセイユ)が高い位置でプレーするなど、無理に真ん中に突っ込まず、サイドで幅を作れるようになった。これによって日本が主導権を握る。CK、FKの回数が格段に増えた。

 カタールはたまらず選手を入れ替えたが、日本も原口元気(ハノーファー)を下げて武藤嘉紀(ニューカッスル)を投入し、攻勢を強めている。後半24分には、右サイドから相手の守備ブロックを広げ、中央にパスコースを作り出す。塩谷からのパスを、バックラインの裏で受けた南野拓実(ザルツブルク)がゴールを決めた。

 サイドで幅を作り、相手の守備網を広げて、深みを作って、ダイアゴナルのパスを縦に入れる。それは、守備戦術を破る攻撃戦術の定石のひとつだ」

 日本は1点差に迫ったものの、吉田のハンドがPKと判定され、逆転の流れは消えてしまった。

「吉田にハンドの意志はなく、審判も見逃している。VAR判定になったのは不運だった。後半は悪い内容ではなく、もしVAR判定にならなかったら、少なくとも同点に追いついていたのではないか」

 エチャリは日本の健闘を称えた一方、細部についての問題点を指摘し、アジアカップの日本代表をこう総括している。

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