スペインの戦術家がアジア杯で指摘。勝ち試合にもあった日本の問題点 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Sano Miki

 エチャリはあえてそう苦言を呈している。それは日本の力に敬意を表しているからでもあるだろう。

 その直後の前半43分、日本は武藤嘉紀(ニューカッスル)が同点弾をヘディングで決めた。

「失点後、日本はすぐに反撃している。右サイドの室屋が1対1の攻防を制し、クロスを折り返し、武藤がヘディングで合わせた。日本はその後も、右サイドからの攻撃を中心にイニシアチブを握った。そして後半13分にも、室屋のクロスが跳ね返されたあと、塩谷司(アルアイン)がエリア外から左足で強烈な一撃を叩き込んだ。

 日本はその後も優勢だった。質の高さを示したと言えるだろう。たとえば、前線に入った北川航也(清水エスパルス)の動きの質はとても高かった。反転からのシュートなど、そのセンスのよさを見せている。

 しかし、チームとして気になるディテールはあった。後半30分を過ぎて、乾は2度続けて、相手を背負ったプレーから自陣で不用意にボールを失い、カウンターを浴びている。事なきを得たが、猛省が必要だろう。
 
 これは乾個人に対してだけの"ダメ出し"ではない。彼は際どいシュートを打ち、惜しいCKも蹴っている。個人としてはそこまで悪いプレーではなかった。ただ、ディテールが勝負を決めることがある、ということだ」

 エチャリはひとりのプロフェッショナルとして、厳しい指摘を与えている。そしてグループリーグ最後の試合をこう総括した。

「勝利した事実はすばらしい。ただし、こうした試合は、そこで得た教訓を大事にすべきだろう。決勝ラウンドを戦い抜くための糧にすべきだ」
(つづく)

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る