カタールに完敗した理由は明らか。単に森保ジャパンが下手を打った (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 事実、カタールがこんなにも効率よくチャンスを作り出し、それを得点につなげた試合は、実力者同士の対戦となる決勝トーナメントに入ってからはなかった。

 今大会のカタールは、4-3-3をベースに戦いながらも、ときに5-3-2も併用してきた。自らがボールを握って攻撃的に試合を進めるのが前者であり、守備を固め、カウンターからのチャンスをうかがうのが後者である。

 5-3-2で臨んだ準々決勝の韓国戦は、まさに"弱者の戦い"だった。圧倒的に押し込まれながら、ほとんど決定機を与えなかった一方で、自らもなかなか攻撃機会を作り出すことができなかった。1-0で勝つには勝ったが、10発打って何発当たるかというラッキーパンチが、たまたまヒットした感は否めなかった。

 ところが、決勝のカタールは、韓国戦同様に5-3-2を採用し、まずは強固なディフェンスを担保しつつも、攻撃面では4-3-3のときに負けず劣らず、ピッチ上の選手がバランスよくポジションを取り、パスをつないで日本陣内に攻め入ることができていた。いわば、ふたつのシステムの"いいとこ取り"ができていたのだ。

 なぜ、こんなにもカタールのよさばかりが、発揮される試合になってしまったのか。

 仮にカタールが今大会ベストの出来だったとしても、それ以上に、日本が下手を打った。完敗の理由はそれに尽きる。

「みんなが『プレッシャーがハマらない』と、ハーフタイムにも言っていたし、試合が終わってからも言っていた」

 GK権田修一(ポルティモネンセ)がそう語ったように、「ハマらないプレス」が、敗因のキーワードであることは間違いない。

 カタールが、ふたつのシステムを併用することは、試合前からわかっていた。当然、スカウティングもできていただろう。にもかかわらず、日本は狙いどおりに相手をプレスにハメることが、とくに前半はまったくと言っていいほどできなかった。DF酒井宏樹(マルセイユ)が語る。

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