森保Jを支える原口元気の走力。ダメ押し点は不遇を乗り越え生まれた (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 原口はそんな状況を打開するために移籍の機会をうかがっていた。だが、移籍希望表明のタイミングがクラブの思惑と合わなかったことから出場機会が激減。結局、2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフへと移籍することで出場機会を確保し、ロシアW杯へ向けてチャンスをつかんだという経緯がある。

 ある意味、ヘルタで不本意な扱いを受けるなかで、確実に手に入れたのが、90分間走り切れる体力と強いメンタルだった。それはこのイラン戦でもいかんなく発揮された。

 原口が得点したのは91分のこと。そのシーンを淡々と振り返る。

「あまり攻撃に関われていなかったので、最後1本くらいはリスクを冒して......と思ったら、うまくいった。あれだけ(攻撃に)関われてなかったら、昔だったら少しイライラしていた部分もあったと思うんですけど、最後まで冷静にプレーできて、結果が出た。それがメンタル的にすごく成長した部分かな、と」

 原口は以前、「厳しい試合の遅い時間こそ、自分が活躍できる時間帯」とも語っていた。耐えに耐えて、最後のチャンスを狙うことができるようになったということだ。

「まだまだいける感じはしたし、全然、フレッシュでしたね」

 原口はそう言って、ここまでのアジア杯の戦いを振り返った。

「もちろん、今日が今大会で一番いいゲームでした。(これまで)ひとつひとつ、苦しかったですけど、粘り強くやってきました。サコくん(大迫勇也)が入ったことはすごく大きかったし、やはり2列目は彼がいることによって生きた。それは大きかったですけど、(大迫が)いない中でもしっかり勝ち切ってこれたというのが、チームとして成長している部分かなと思います」 

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る