2軍で1.5軍のウズベキスタンに勝利。森保采配にまだ太鼓判は押せない (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Sano Miki

 相手陣内でプレーしていながらチャンスを作れないでいると、逆に日本は一瞬の隙を突かれてピンチを迎える。それが、相手のゴールキックから始まった16分のシーンだった。

 高いポジションをとっていた佐々木翔(サンフレッチェ広島)の背後のスペースにロングボールが入ると、遅れた槙野智章(浦和レッズ)がショムロドフとの競り合いに負け、ショムロドフがバックヘッド。右サイドで完全にフリーとなった17番ハムダモフがそのボールを拾って始まった一連の攻撃は、最終的にショムロドフのミスによってネットを揺らすことはなかったが、これが最初の決定機となった。

 このシーンを境に、日本の最終ラインに相手のカウンターに対する警戒心が生まれたことで、試合の流れは一気に変わった。そこから約15分間はウズベキスタンが日本を押し込む時間が続き、日本のボール支配率は55.6%から28.9%に激減。それでもチャンスを与えることなくしのいだ日本は、30分以降に再びボール支配率を58.9%に戻すこととなったが、この数字から見ても前半の攻防がほぼ互角だったことがわかる。

 そういう意味では、1-1で終わった前半の結果は論理的だった。ただ、日本としては失点のシーンも含め、佐々木、槙野、塩谷による左サイドの守備対応、それにリンクする三浦のカバーの問題は反省点として挙げておく必要がある。

 日本にとっては、前半の失点直後に反発を見せ、すぐに同点に追いついたことが大きかった。これが逆転勝利を収めることができた要因のひとつであり、同時に、室屋成(FC東京)の右サイドからのクロスを武藤がヘッドで叩き込んだ同点ゴールが、後半の日本の攻撃に好影響を与えることとなった。

 後半立ち上がりの時間帯でボールを保持したのはウズベキスタン。しかしチャンスを多く作ったのは日本だった。なかでも、右サイドの伊東を中心としたカウンター攻撃がその効果を発揮。左サイドの乾を起点とすることが多かった前半とは異なり、後半の日本は右サイドからの攻撃に可能性を見出した。

 53分、塩谷からパスを受けた伊東がドリブルでロングカウンターを仕掛け、そのままシュート。続く56分のカウンターでは、ドリブル突破を図った伊東が右からクロスを入れ、最終的に武藤がシュート。その1分後には青山のスルーパスを受けた伊東が再びクロス。これはDFにブロックされたが、日本の攻撃は右サイドを中心に活性化し始めた。

 この一連の右サイド攻撃から生まれたのが、塩谷の逆転ゴールだった。右からのコーナーキックを相手にクリアされたあと、セカンドボールを拾った室屋が右サイドからアーリークロス。一度は相手にクリアされるも、塩谷が得意のミドルシュートでネットに突き刺した。右サイド攻撃に活路を見出した日本に生まれるべくして生まれたゴールだったと言える。

 伊東の特長は、右サイドを縦に突破するスピードと推進力にある。左利きの堂安律(フローニンゲン)とは異なるプレースタイルを持っているため、今後は彼を右ウイングに置くことで攻撃のバリエーションが増えるはずだ。スタメンで使うかジョーカーで使うかは監督次第だが、この試合で得た収穫だった。

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