森保ジャパンは「監督が日本人であることのメリットを最大化している」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Matsuoka Kenzaburo

 日本代表クラスに登り詰めるほどの選手たちは、前を向いてからの能力だけを見れば、Jリーグ組も海外組も大きな差はない。しかし、ハイレベルになればなるほど、サッカーでは中盤から前線でボールを受けて前を向くことが難しくなる。そこでのクオリティーに関して、大迫、南野、中嶋、堂安の4選手とJリーグ組の差はまだまだ大きいと言える。

 自分とマーカーの距離と角度、敵味方の立ち位置と動こうとする方向、それらをパスを受ける前にチェックして把握し、パスを受けた後に敵味方がどう動くかを予測しておく。もちろん、これはJリーグ組も試合中にやっていることだが、現状はそのクオリティーに違いがある。その質をJリーグ組が高めていくことができれば、森保ジャパンの攻撃陣の競争はさらに激しくなり、レベルアップを果たしていくはずだ。

 最後に、森保ジャパンでもっとも見逃せないことに触れたい。それはチームのまとまりのよさだ。監督と選手がしっかりコミュニケーションを取り、能力の高い選手が効率的なトレーニングをしても、それだけで「まとまりのよさ」は生まれない。これは森保監督が選手ひとり一人の経歴を知り、個々の特性をわかったうえで、それぞれにチームでの役割を与えていることが大きい。

 試合とは別に、「自分はこのチームに何のためにいるのか」がわかるように、責任や使命を選手ひとりひとりに与えれば、チームの一体感は生まれやすい。「世代間の融合」を掲げている森保監督は、新戦力が伸び伸びプレーできる環境をつくりだすことを経験のある選手に求めることで、ベテラン選手の意欲を高め、若手が成長するマネジメントを施していると言える。

 ここまで無敗の森保ジャパンは、2019年1月にアジアカップに挑むが、初めての真剣勝負で壁にぶち当たるかもしれない。しかし、どんな結果になろうとも、森保監督のマネジメントがブレない限り、そこで直面した問題を今後への糧にしながら、日本代表はまだまだ成長していくだろう。

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