3発快勝にも、杉山氏が指摘。森保ジャパンの「色」が見えない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「ひとつの形にこだわってやっていくのもいいけれど......いろんな形に対応できるように......柔軟さ、臨機応変さをもって......。ですが、システムはどうあろうとサッカーの原理原則は変わらない」

 代表監督として、ここは人を惹きつける台詞を吐くチャンスだったが、そこで発せられた言葉はとても弱々しく、不明瞭だった。

 3-4-2-1は、サイドアタッカーが両サイドに各1人しかいないため、深い位置に進入しにくく、攻撃が先細りし、真ん中に固まりやすくなるが、この日の4-4-2もそれと似た傾向を示していた。堂安、中島が、両サイドバックと絡むことができていないので、プレーは単独になり、深い位置に進入することができなくなった。

 例外は、左サイドバックの佐々木ではなく、守備的MFの遠藤が深い位置に入り込み、そのマイナスの折り返しを南野が決めた2点目のゴールのシーンぐらいだ。

 それは意図的には見えない、偶然の産物だった。早い話が「哲学不在」。色、こだわりが感じられないのだ。それなしに代表監督に不可欠なカリスマ性は宿らない。これで2022年まで4年間、もつのか否か。怪しい気がする。

 2002年日韓共催W杯前後のように、それでも好選手が目白押しの状態にあるなら希望は見えるが、日本サッカーの現状は右肩上がりにはない。この日、スタメンを飾った選手のなかで、4年間、代表の椅子に座り続ける選手はどれほどいるだろうか。

 室屋成(FC東京)、三浦弦太(ガンバ大阪)、遠藤、中島、南野、堂安。年齢的に4年後を狙えそうなのは、これらの選手になる。

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