恩人・今西和男が森保一を語る。「サッカーを続けたいと必死だった」 (3ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

ーービル・フォルケス監督のときにはマンチェスターUに留学させましたね。

「フォルケスの時に4人ほど留学させたんですが、その中に森保も入っていましたから。フォルケスは典型的なイングランドサッカーで、ボーンと蹴ってワーッと行くような戦術だったわけです。だから、風間(八宏=現名古屋グランパス監督)なんかバカにしていましたけどね。『イングランドはドイツに比べたら全然戦術なんか持っていないよ』と。森保はそんな風間に近づきに行っていましたよ」

ーードイツ帰りの先輩から吸収しようという貪欲さがあったのでしょうね。

「風間は上手いだけではなくて、どっちかといったら理論家ですから。いろいろ知っている。だから、彼ともしょっちゅう話をしながらいろいろ教わっていたと思う。会話をしていても森保はとにかくものすごく集中力が高いと思いました。普通の高校生は照れ臭いのか、怖いのか、相手の視線を外して話をするでしょう。しかし、彼はにらみ返すように見つめてきた。それは自分を誇張するのではなくて、『とにかくサッカーがしたいんです、僕は』と。で、マツダでやりたい、レギュラーになりたいという思いは強かったですね」

ーー外国人監督は彼のスキルを見抜いたんですね。オフトは評価を改めて遠征に連れて行ったし、ビル・フォルケスは留学の橋渡しをしました。

「私は留学した全員に帰国してから体験してきたことについてスピーチをさせたわけですが、ほかの選手が話せない中、森保は堂々と20分話しました。喜びというか、新しい経験をしたということをすごく強く感じていて。できたら自分でこのチームでやれることを続けていきたいという思いがすごく伝わってきましたね。目標設定というのがしっかりしていた」

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