U-21森保ジャパンが価値ある準V。東京五輪へ多大なる成果を得た (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 森保監督は「ボールを握って攻撃する時間」を作れなかった理由について、「判断力」を挙げ、こう語る。

「ボールを持っていないときに、見えるところを増やすこと。そこを上げていくこと(が必要)だと思う。相手も60分くらいから、プレッシャーが緩んだところもあるので、特にそういうときはボールを握って、いい形で攻めることができればと思ってベンチから見ていた。

 粘り強く守ることはよくやったが、いかに次の(攻撃の)状況につなげるか。そのためには(ボールをもらう前に)状況を見ておくこと。もちろん技術もそうだが、そうやって判断力をもっと上げていかなければいけない」

 とはいえ、国際経験が豊富とは言えない若い選手たちが、「前半は韓国に勢いがあって、ちょっと受け身になってしまった」(原)のはやむを得ない面もある。その意味では、韓国サポーターが大挙して訪れた会場の雰囲気も含め、選手たちにとっては貴重な経験になったはず。DF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)は、「準決勝までとは違う、ワンランク上のレベルとやれたのは、すごくよかった」と語る。

 今大会の森保監督は、そのあたりを理解したうえで、うまく試合を進められないときでも、ときにはフォーメーション変更や選手交代で状況に変化を加えたり、ときには選手に対応を任せてベンチで静観したりと、うまくチームをコントロールしながら、選手の成長を促していた。

 後者に当たる韓国戦も、勝利には結びつかなかったものの、「まず粘り強く守備をして、相手にやらせないというところが今日は大切かな、と。昨日の(終了間際のゴールで優勝した)なでしこジャパンの試合ではないが、無失点に抑えていれば、最後に十分得点のチャンスはあるかなと思っていた」と振り返る。

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