森保ジャパンの方向性は見えず。代表監督就任記者会見への違和感 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 そして、「代表監督というすばらしい仕事をいただき......」と、また感謝するのだった。おそらく田嶋会長に。日本の縦社会の中にスッポリと収まる、良くも悪くも日本人らしい人。それがスピーチを聞いた印象だ。

 スポンサーへの「感謝」も忘れなかった。キリン様、アディダスジャパン様。代表監督がその就任の記者会見で、スポンサーへの感謝を述べるケースは珍しい。律儀な性格なのか、真面目なのか。

 だが、監督が本来、備えているべきは、そうした律儀さ、真面目さではない。むしろ、ともすると悪そうに見えるムードだ。一癖も二癖もある、映画で言えば悪役か名脇役のような風格が、とりわけ代表監督には求められる。だが、森保氏は、出る杭は打たれる世界において、極力、打たれなさそうな振る舞いをしてきた、癖のない人に見える。

 人柄はどうあれ、代表監督は立場そのものが「出る杭」だ。いい人でも打たれる。Jリーグの監督としての経験はわずか4年。その間、3度優勝しているが、逆境に立ったのは1年だけだ。これをもって田嶋会長、関塚技術委員長は「日本人監督として文句なしの実績」と、太鼓判を押すが、打たれ強いか否かは定かではない。会見のスピーチを聞く限り、危ないとみる。

 そんな森保氏が狡猾さを垣間見せたのは、目指すサッカーを問われたときだ。

「速攻も遅攻も、ハイプレッシャーもできれば、しっかり守備を固めて守る、西野(朗)監督もやっていた臨機応変さを磨いていきたい」

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