歴史を塗り替える。西野ジャパンが示す「日本人監督が指揮を執るメリット」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

「すばらしい戦いでグループステージを勝ち抜いた大会でしたが、すべてを出し尽くした感があって、チームに余力があったのかどうか。2002年は初めて(グループステージを)突破した満足感とか、貪欲に(ラウンド)16に対して挑んだのかどうだったのか。南アフリカもグループステージでチーム力をすべて投げ出して勝ち取ったと思う」

 当時の目標は決勝トーナメント進出。そのミッションを成し遂げるためにグループステージで全精力を使い果たした。その結果、ミッションは達成できたが、ラウンド16で力尽きた――という見解である。

 一方、今大会のポーランド戦では、長谷部、香川真司、原口元気、大迫勇也、乾貴士、昌子源をスタメンから外し、これまで出場機会の少なかった選手たちをスタメンで送り出したのだ。

「トーナメントに入ってフレッシュな戦いができるようなメンバー選考でしたし、チーム力として疲弊していない、いい状況が作れた」という指揮官の言葉を聞くと、3度目の決勝トーナメント進出を狙った今大会では、いかに余力を残して勝ち上がるか、がテーマだったことがわかる。

 優勝を狙う強豪国のように、「ここからワールドカップが始まる」というほどの余裕はないが、それでも、ベルギー戦にフレッシュなメンバーを送り出せるという点で、日本代表は初めてベスト8進出を現実的に捉えてラウンド16を戦うことができるわけだ。

 2010年南アフリカ大会におけるグループステージ突破と、2014年ブラジル大会における惨敗の両方を経験した長谷部、本田、長友佑都、岡崎慎司、川島永嗣の5人に対する厚い信頼からも、いかに指揮官が歴史と経験を大事にしているかがうかがえる。

 彼らがどんな想いでこの4年間取り組んできたのか、技術委員長時代からよく知っているのだろう。彼らのリベンジの想いを尊重し、それをチームにうまく組み込んでいる。

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