2018.07.02

歴史を塗り替える。西野ジャパンが示す
「日本人監督が指揮を執るメリット」

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 大会前のテストマッチで全選手を起用し、3バックと4バックを試すなど周到な準備をしていたかと思えば、ラウンド16のベルギー戦に向けた公式会見では、「そこ(PK戦)に至る前に決着を着けたい」という理由で「PKの練習はしない」と宣言してみたりする。

ベルギー戦に向けて最終調整を行なう日本代表の面々 リアリストなのか、ロマンティストなのか、よくわからない。両者が絶妙なバランスで混ざり合う、夢見がちなリアリスト――。それが、西野朗監督の本質だろう。

 一方、ラウンド16に勝ち進んできたなかで思うのは、日本人監督が指揮を執ることのメリットが色濃く出ている、ということだ。

 そのメリットのひとつに、「日本代表の歴史を熟知している」ということがある。

 たとえば、グループステージ最終戦のポーランド戦。周知のように西野監督は、0-1のまま試合を終わらせるために、長谷部誠を投入した。

 そこで思い出すのは、2006年ドイツ大会初戦のオーストラリア戦である。1-0とリードして迎えた後半途中、オーストラリアがパワープレーを敢行してきた際に、小野伸二が投入された。

 しかし、ピッチの選手たちには、この交代に込められたメッセージがわからなかった。追加点を奪って試合を決定づけるのか、中盤でボールをキープして落ち着かせるのか、セカンドボールを積極的に回収するのか……。

 混乱をきたしたチームは結果、オーストラリアに逆転を許してしまう。

 一方、今大会で混乱することはなかった。

 現チームにおいて長谷部は、アンカーやセンターバックまでこなす、守備に強みを持つ選手という共通認識がある。その長谷部をアンカーに入れること、長谷部自身が最初の2、3プレーでボールを下げることで、「このままの状態で終わらせる」というメッセージが共有されたのだ。

 ポーランド戦におけるスタメンの選考も同様だ。

 日本代表は過去2回、決勝トーナメントに進出している。自国開催だった2002年日韓大会と、2010年南アフリカ大会である。そのふたつの大会について、西野監督はこんな感想を話している。