ベンチからの視点。宇佐美貴史は「勝ちにいくため」の役割を次こそ... (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 さらに後半、点を取りにいく勢いがチームにあることを、宇佐美はベンチから感じていた。

「(チームに)引き分けを狙いにいっている雰囲気はなかったです。点を取りにいっている、強気にいっているな、という感じでした。

(本田)圭佑くんが入ったときは、失点して1-2になっていたんで、もういくしかない状況。そこからオカちゃん(岡崎慎司)が入って、勝ちにいく姿勢をより出していった。引き分けじゃなくて、勝ちにいくぞ、と」

 そうして、本田がゴールを決めると、ベンチは大いに沸いた。「さぁ、もう1点取りにいくぞ」「ひっくり返すぞ」というムードが漂っていたという。

 そこで、"最後のカード"として声がかかったのが、宇佐美だったのである。

「(チームは)強気に、引き分け狙いのムードをなかった」という宇佐美貴史「(チームは)強気に、引き分け狙いのムードをなかった」という宇佐美貴史 結局、試合はそのまま2-2のドローで終わった。

「試合後のロッカーは(試合に)勝っていないので、さすがにコロンビア戦のときほど沸き立っていなかったですけど、しっかり3戦目を勝ちにいく、という空気感になっていました」

 決勝トーナメント進出を2戦目で決定づけることはできなかったが、日本がグループリーグ突破へ、大きく前進したことは間違いない。

 南米とアフリカの強豪を相手にして、1勝1分け。苦戦が予想された戦前の評価を覆(くつがえ)して、チームは非常にいい状態にある。

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