2018.06.18

前回コロンビア戦、「支配率で勝る日本」が
惨敗した原因は改善したか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 しかし、日本はボール支配率で強者コロンビアを大きく上回った。56.7%対43.3%。おそらくこれは、W杯本大会で過去17戦した中で最高の数値だったと思われる。それでいてスコアは1-4。過去最悪の試合を展開した。この支配率とスコアの関係に、日本サッカーの問題点は隠されていた。

 キャプテンの長谷部誠は試合後「4点奪われましたが、我々らしい攻撃的なサッカーを最後まで展開することができた」と、胸を張った。清々しい表情が印象に残るが、彼に対するこちらの評価は、むしろ下がることになった。これは討ち死に覚悟の、無鉄砲な戦い方そのものだった。

 日本にはそのとき、ごくわずかながらベスト16入りの可能性があった。逆にコロンビアはすでにベスト16入りを決めていて、日本戦は事実上の消化試合だった。この精神的な差が、コロンビアを"受け"にまわらせた理由かもしれないが、日本はその流れにはまり込んでしまった。

 日本がボールを奪われる位置はけっして低くなかった。平均値で自軍ゴールから79.6mの高さを維持した。だが、安全か否かは単純に高さだけでは決まらない。内か外かも重要なポイントになる。安全なのは内より外。自軍ゴールからより遠くなるからだ。ライン際とド真ん中では、同じ高さならゆうに10m、2プレー分程度の差が生まれるとされる。

 コロンビア戦のザックジャパンが、ピッチを縦に4分割したときの中央(2つ分)のエリアで奪われた割合は70.4%に及んだ(外は29.6%)。

 ジーコ以降の日本代表歴代6チームを調べたとき、ボールを外で失う割合が最も高かったのはアギーレジャパン。内と外は、65.1%(内)対34.9%(外)の関係だった。ザックジャパンとの差は、それぞれおよそ5%強。

 この真ん中で奪われた割合から、攻め切った割合(相手のペナルティエリア内で奪われた割合)を引けば、"真ん中の中途半端な位置で奪われた割合"になる。ザックジャパンとアギーレジャパンをこの割合で比較すると、差はさらに拡大した。アギーレジャパンが33.8%なのに対し、コロンビア戦のザックジャパンは43.6%。真ん中の危ない位置で奪われる頻度が高いサッカーをした。

 以上のデータは、筆者の新刊『SOCCER GAME EVIDENCE 36.4%のゴールはサイドから生まれる』から引用したものだが、 ザックジャパンが、「攻め込んでは真ん中の危ない位置で奪われ、カウンターをくらう」を繰り返したことは、そこに記載されたデータから読み解くことができる。

 繰り返すが、その直後に就任したアギーレは、ボールを奪われることを半ば想定し、外を有効に使いながら用心深く攻めようとした。日本サッカーは、コロンビア戦の反省を活かし、いい方向に進むかと思われた。ところが、アギーレは八百長疑惑で解任の憂き目に遭い、そしてハリルジャパンが誕生した。

 ハリルジャパンのボール支配率は、歴代日本代表の中で最低の数値を示した。ザック時代には57.4%、アギーレ時代には61.5%まで達したその数値は、ハリル時代になると48.1%にまで急落。従来の座標軸上から外れたサッカーでハリルジャパンはW杯に臨もうとした。

 西野ジャパンは、3-4-2-1で戦ったガーナ戦では怪しいムードを漂わせたが、先のスイス戦、パラグアイ戦では、ザック~アギーレ系の路線に回帰したようなサッカーを見せた。