2018.06.18

サッカー人生で最も苦しんだ1カ月。
中村俊輔は何を考えていたのか

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

私が語る「日本サッカー、あの事件の真相」第6回
W杯で輝けなかった「エース」の本音~中村俊輔(4)

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「シュンスケ、いくぞ!」

 2010年南アフリカW杯グループリーグ第2戦のオランダ戦、中村俊輔は後半19分から途中出場した。オランダに1点リードされた状況の中、日本代表の岡田武史監督は点を取りにいくために、中村をファーストチョイスとしてピッチに送り出した。

 ここで点に絡む活躍ができたら、中村は松井大輔と右サイドのポジションを争うことができたかもしれない。だが、中村は何も結果を残せず、自身の存在をアピールすることさえできなかった。チームも、そのまま0-1で敗れた。

「(オランダ戦で)試合に出たけど、ぜんぜん地に足がついていなかった」

 これ以降、岡田監督から中村に声がかかることはなかった。

オランダ戦で途中出場するも、見せ場を作れなかった中村俊輔 チームが勝ち進むなか、いち個人としては"サブ"という世界で悶々(もんもん)とした毎日を過ごしていた。本来であれば、ミックスゾーンで試合を分析するなど、取り囲む報道陣を相手に多くを語っていたはずだが、中村が口を開くことはほとんどなかった。

「試合に出ていないし、メディアのほうも声をかけていいのか、悪いのか、微妙な空気になっていたからね。かといって、俺に聞くこともないだろうし、俺も話をしたくなかったから」

 何かしら話をし出したら、感情が込み上げて爆発してしまう怖さもあった。

 試合後に報道陣とかわす話は、試合での自分のプレーや考えを整理したり、彼自身の"ガス抜き"でもあったりしたが、それもなくなり、ストレスは溜まる一方だった。