W杯直前で完敗を重ねる西野ジャパンに
「火事場の馬鹿力」はあるのか (2ページ目)
いい監督と悪い監督を見分ける方法は様々あるが、一番は本番から逆算する力だ。西野監督に与えられた準備試合は3試合。ガーナ戦、スイス戦、パラグアイ戦だった。その間にできることは何か。できないことは何か。最大限、時間を有効に使おうとすれば、可能なことを推察する力が求められる。それがベストを尽くすという意味だ。監督就任が決まった瞬間、スッとこれが描けていないと、苦境は乗り切れない。
槙野智章は「3バックなのか、4バックなのか。どちらなのかわかりませんけれど、監督の求めるものを、ピッチの上で表現できれば......」と述べた。監督がどちらの布陣を使うのか、選手が考えあぐねている様子が見て取れる。
3試合しか与えられていない中で、早くも2試合を消化し、残り1試合になった西野ジャパン。時間の使い方を間違えていることは明らかだ。
もうひとつ、いい監督と悪い監督を見分ける方法は、禁句を吐くか否かだ。西野監督は試合後のインタビューで、次のフレーズを口にした。
「決定力不足」
敗因をこれに求めれば、責任は全面的に選手に及ぶ。選手に決定力さえあれば、勝てたという話になりかねない。このスイス戦、決定力不足でゴールにならなかったシーンはいったいいくつあったのか。絶対決めなければならないシュートを、選手は何本外したというのか。
ほぼゼロだ。決定力不足は事実誤認。決定力を嘆くなら、その前にチャンスの少なさを嘆くべきだろう。
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