森保ジャパン、0-2のスコアでは伝わらぬ善戦。チリ戦で軽快に連動 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 とりわけ1トップ2シャドーを務めた前田、伊藤、中村は、森保ジャパン初出場の選手たち。戦術トレーニングを経験していない彼らは、言わばぶっつけ本番の状態。連係・連動を求めるのは酷だろう。

 むしろ、それ以降の時間帯は、伊藤や遠藤のドリブル突破、中村の積極的なシュートへの意欲など、個の特徴が存分に発揮されていて、これもまた頼もしく見えた。

 大会前に行なったインタビューで、森保監督はふたつのテーマを掲げていた。

「今回、特に意識しているのが、ビルドアップのクオリティと、個の成長です」

 相手がプレッシャーをかけてきたときに、どう剥がし、どう回避するのか。時間もスペースも与えてくれない相手をどう攻略するのか。このチリ戦ではいずれのテーマに対しても、ポジティブなパフォーマンスを見せていた。

 それだけに、失点がもったいなかった。

 0-0で迎えた75分、立田がつなごうと中央に出したパスが相手に渡り、クロスからゴールに結びつけられてしまう。90分にも杉岡がボールを奪われ、相手クロスが杉岡に当たってコースが変わり、日本のゴールが割られた。終わってみれば、0-2。しかも、U-23アジア選手権と同様に、ミスからの失点だった。森保監督が言う。

「前回と同じ課題が出ているので、しっかり修正していかなければいけない。若い選手たちですけど、次のプレーにつなげる責任感や集中力を、ひとりひとりもっと上げていかなければいけない」

 さらに言えば、アタッキングサードまで理想的な形でボールを運びながら、得点につなげられなかったゴール前のコンビネーションと精度も、大きな課題だ。

 テクニックに優れ、デュエルも強く、試合の流れを引き寄せる駆け引きにも長(た)けた南米勢とは、勝敗は別にして、対戦するだけで学ぶべきものも多いが、一方で勝利しなければ得られないものもある。23日に対戦するベネズエラは、昨年のU-20ワールドカップのベスト16でPK戦の末に敗れた相手である。リベンジという点でも、次戦は勝負にこだわった戦いを見せてほしい。

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