森保ジャパン2連勝も、まだサンフレッチェ全盛期に及ばぬ部分は何か (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 森保一監督が率い、J1を3度制した当時のサンフレッチェ広島のサッカーを手本にするならば、攻撃のキーワードは「幅」と「深さ」。横に広くボールを動かし、かつ、縦の奥行きを作ることで相手DFラインにギャップを生み出すことがカギとなるが、タイ戦に関して言えば、「深さ」を作り出すことができていなかった。

 中盤で選手同士の距離を縮め、テンポよくショートパスをつなぐことで、最初はシュートシーンを何度か作れた。だが、タイは後ろに人数を多く割いていたとはいえ、DFラインは高く保っていた。にもかかわらず、中盤での短いパスを多用することは、最終ラインを破られなければいいタイにとっては思うツボ。日本は前半なかばを過ぎたあたりから、ボールを保持するもペナルティーエリアにまったく入れなくなった。岩崎が続ける。

「今日はボランチの位置が少し低いと感じたので、ボランチとの距離が遠くならないように下がってプレーした。もう少し(相手DFラインの)背後を狙う動きを見せればよかったが、今日は中盤で受ける意識が強かった」

タイの分厚い守備をこじ開けようと仕掛ける遠藤渓太タイの分厚い守備をこじ開けようと仕掛ける遠藤渓太

 今大会初先発となったMF遠藤渓太(横浜F・マリノス)が、「ベンチからも声が出ていたが、もう少しドリブルで強引にいってもよかった。途中からみんなドリブルやワンツーを意識し出した」と語ったように、特に試合終盤、1トップのFW田川亨介(サガン鳥栖)をはじめ、無理やりにでも相手ディフェンスをこじ開けようとするプレーが増えた。結果的にそれがCKを呼び込み、試合終了間際のDF板倉滉(川崎フロンターレ→ベガルタ仙台)の決勝点につながった。

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