W杯の予想を前に福田正博が思い出す、日本を戒めた「オシムの言葉」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 ドイツ代表に目を向けると、2004年のEUROポルトガル大会のグループステージで1勝もできずに惨敗したことで、それまでのフィジカルを前面に押し出したサッカーを捨てた。その決断が、現在のドイツ代表の隆盛につながっている。それに倣うかは別として、レベル低下を指摘されているセリエAの改革も含め、イタリアサッカー界がどういう決断を下すのかに注目したい。

 イタリア、オランダなど、サッカー先進国が予選敗退の憂き目に遭う一方で、人口33万人のアイスランドが初出場を決めた。この小さな島国は、グループリーグでクロアチアやウクライナ、トルコを抑えて1位で予選を突破している。その背景には、インターネットの普及により、どこにいても最先端のサッカー映像を見られるようになったことがある。

 選手たちは世界最高峰のプレーを参考にでき、指導者たちは、以前ならサッカー先進国まで足を運んで学んでいた指導法をタイムラグなく知ることができる。もともと、アイスランドの近隣諸国はレベルの高い国ばかり。チーム強化の成果を強豪相手に試しやすい立地も、成長の大きな後押しになっていたはずだ。

 サッカーの奥深さを感じさせてくれたという点では、スウェーデンの健闘も意義深い。欧州予選ではフランスに次いでグループ2位。勝ち点でオランダと並んだものの、得失点差でオランダを8点上回ってプレーオフ進出の権利を手にし、イタリアの猛攻を凌いで出場権を獲得した。

 過去2大会のW杯は、世界屈指のセンターフォワードであるズラタン・イブラヒモビッチを擁しながら予選で涙を呑んでいる。ところが、今回の予選ではエースが抜けた穴をチーム一丸となって補い、歓喜の瞬間を迎えた。圧倒的な選手がいるだけでは勝利につながらないことを、スウェーデンが証明してくれた。

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