「ボールをもらいたがらない」ハリルJ。自信も確信もない負けっぷり (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 敵将のチッチ監督にしても、「チームとしての組織においては失うものがあったとしても、(交代出場した選手たちに)チャンスを与え、選手個々を見ることが重要だった」と語り、交代選手を次々に投入した後半は、選手のテスト的な色合いが濃くなったことを認めている。試合終盤、日本が前線からプレスをかけているにもかかわらず、低い位置からでもリスキーなつなぎに徹するあたり、ブラジルはもはや"遊んでいた"に近い。日本は前半で勝負を決められ、後半は適度に花を持たせてもらったわけだ。

 試合前日、ハリルホジッチ監督は「強い気持ちを持って臨み、ブラジルにダメージを与えたい」と話していたが、ダメージを与えるどころか、完全にもてあそばれてしまった。

 W杯前年のこの時期、日本代表はヨーロッパに遠征して強豪との試合をこなすのが、恒例となっている。だが、これほどまでに、何を武器にどう戦おうとしているのかが見えなかった試合は記憶にない。

 先月行なわれたニュージーランド戦やハイチ戦のときをはじめ、現在の日本代表が「何もないチーム」になってしまったことを、すでに何度か指摘したが、この試合はそのことを改めて印象づけるものだった。

 ポゼッションを重視しないことはいいとしても、だからといって、高い位置で狙いどおりにボールを奪ってカウンターを繰り出せるわけでもない。逆に中途半端な攻撃を仕掛けては、強烈なカウンターを食らった。

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