忍者サッカーで豪州を惑わす。勝因は「非・本田圭佑」的な選手の抜擢 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 ハリルホジッチの母国、旧ユーゴスラビアは"巨人国"だ。現役時代、自らも大型CFとして鳴らしていた。小さくてすばしっこい"非本田圭佑的"な選手が大男相手には効くことを、反面教師として知っていた可能性がある。

 長友はともかく、浅野、井手口、乾など、これまで優先順位の低かった選手を、この大一番に起用したその選手選択の妙が功を奏したことは確かだった。オーストラリアは彼らの対処に手を焼き、ついその動きを見過ぎてしまった。最後までパスサッカーのテンポが上がらなかった大きな理由だと思う。

 もうひとつオーストラリアの敗因を挙げるならば、後ろの方に人が多く分布するその3-4-2-1の布陣だ。前回、メルボルンで戦った時も、4バックの中では守備的な部類に入る中盤ダイヤモンド型4-4-2を採用していたが、今回はそれ以上だった。日本の1トップ(大迫勇也)に対して守備者3人が、3トップ(乾、大迫、浅野)に対しては5人が、後ろで構えた。

 アンジェ・ポステコグルー監督が目指すのは、中盤をパスワークで支配するサッカーだ。しかし、守備的な布陣を用いながらパスワークで中盤を支配するという方法論には無理を感じる。

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