U-20日本は「フィジカルの怪物」ベネズエラをどう攻略するのか (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 いかに実力差があるバヌアツが相手だったとはいえ、グループリーグ第2戦で大量7ゴールを奪った破壊力は伊達ではない。ベネズエラがスピードとパワーで蹂躙(じゅうりん)し続ける試合は、見ていて、バヌアツがかわいそうになるほどだった。迎え撃つ日本の守備陣にとっては、肉体的にも精神的にも厳しい90分となりそうだ。

 高い攻撃力を備えていると言っても、ベネズエラは決して腰高で守備の甘いチームではない。それはグループリーグ3試合で無失点という数字が示すとおりだ。

 DFウィリアムズ・ベラスケス(背番号2)、ナウエル・フェッラレシ(背番号4)のセンターバックコンビはそろって高さがあるが、決して鈍重な選手ではなく、機動力を備える。ボール扱いもうまく、自らボールを前方に持ち出して攻撃の起点にもなれるオールラウンダーであり、つまりはフットワークに難があって、日本人選手の俊敏性でスキを突けるようなタイプではないのだ。

 さらにはキャプテンでボランチのMFジャンヘル・エレーラ(背番号8)が、的確にパスを散らして前線のタレントを操りつつも、中盤の底で相手のカウンターの芽をしっかりと摘んでしまう。日本同様、比較的小柄な選手が多く、ボールポゼッションを高めた攻撃でチャンスを作ろうとしたメキシコを完封していることからも、スキのなさはうかがえる。

 各ポジションに穴がなく、高い組織力でまとまったチームは、おそらく日本を2-0で下したウルグアイに匹敵する力を持つ。攻守両面でレベルが高く、グループリーグでの戦いぶりから判断するに、フランス、ウルグアイと並ぶ優勝候補の一角。実力的には日本よりも上と見て間違いない。

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