U-20日本代表、ラッキーな勝利。真の「世界戦」はこれから始まる (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして実際、彼らは未知の相手、未知の雰囲気に飲み込まれかけた。DF冨安健洋が「前半は落ち着かずバタバタした。2列目からの飛び出しの対応にてこずった」と話したように、前半のうちに2点目、3点目を失っていれば、この試合に敗れるばかりか、2戦目以降にまで緊張や不安、焦りといったマイナス要素を引きずりかねなかった。それを考えると、指揮官の言葉どおり、まさに相手のミスに助けられたラッキーな試合だった。

 とはいえ、そうした些細な試合の流れの変化をつかむかどうかが勝敗を分ける。それが勝負の常である。相手からもらった勝機だったかもしれないが、それをしっかりと生かしたことは評価していい。

 選手個々のポテンシャルで言えば、今回のチームには能力の高い選手がそろっており、Jリーグでも各クラブで主力としてプレーしている選手は多い。逆転ゴールを決めたMF堂安律や、途中出場でそれをアシストしたFW久保建英をはじめ、しっかりと持てる能力さえ発揮できれば、このくらいの相手にこのくらいの結果を残すことは、驚くほどのことではないのだろう。後半はポジショニングで相手の先手を取り続け、南アフリカの攻撃を封じ切った冨安が続ける。

「試合のなかで、だんだんスピードにも慣れた。相手のキックモーションを見て、(相手FWの動き出しよりも)先にしっかり下がることを徹底してやれた。より早く対応できればよかったが、この試合で(世界レベルの)スピードを感じることができたので、次に向けてしっかり準備していきたい」

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