世界最強リヨンで主力の熊谷紗希。
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リヨン自体もリーグ戦、カップ戦、CLの3冠を達成、まさに黄金期を迎えようとしている。今でこそ、リヨンはフランス代表の宝庫であり、各国の代表選手で構成されているスター軍団だが、熊谷が移籍した当初はそこまでのチームに成長する一歩前の時期だった。
「フランクフルト1年目のときに、CL決勝でリヨンと戦って、0-2で負けたんですよ。リヨンには一つひとつのプレーにうまさがあった。私はまさかそのリヨンからオファーがあるなんて思ってなかったから......」
決してフランクフルトでの2年が充実していなかったわけではない。しかし、慣れ親しんだ環境の中で3年目を迎える自分の姿が少し見えてしまったのだという。そして何より、リヨンというチームへの興味が膨らんでいた。
「フランクフルトは本当に過ごしやすい街ではあったけど、私はサッカー選手だし、そこで迷う意味ってあるのかなって思いました。『ちょっと一発行ってみようかな』と。私が入った1年目のリヨンは、フランス代表もそんなにいなくて、2年目、3年目くらいからチームメイトが選ばれて、フランス代表がグングン伸びていった。当初はそこまでの強さじゃなかった。だから行けたのかも(笑)」
チームとともに熊谷も経験を重ねたことで、2015-16シーズンは向かうところ敵なし、大興奮の嵐となった。2016-17シーズンに突入した現在は、もう一度あの興奮を手にしたいと挑んでいる最中だ。だからこそ今が一番充実しているのだろう。彼女が重ねてきた6シーズンが実を結ぶ日々を実感している。
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