今こそ重大決断のとき。攻撃も守備も「何もなかった」ハリルジャパン (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「試合を通してチャンスの数は少なく、追いつかれてからは苦しい時間が続いた。一番チャンスを作れたのが、(DF吉田)麻也を(前線に)上げたパワープレーでは......。これが目指すサッカーではない」

 長谷部がそう語っていたように、内容的には評価に値しない試合。完全に日本の負け試合だった。初戦で"中東の笛"に泣いた日本は一転、"極東の笛"に救われたのだ。

 もちろん、ときには内容が悪いなりに勝ち切る試合があってもいい。それはそれで成長の証であり、強さの証である。

 しかし、今の日本代表はこの試合の内容だけがたまたま悪かったわけではない。最終予選の3試合を通じ、低調な内容が続いている。初戦でUAEに敗れたあと、ハリルホジッチ監督は「これからパフォーマンスを上げていくアイデアはたくさんある」と話していたが、パフォーマンスは上がるどころか、むしろ低下が進んでいるようにさえ見える。

 日本人選手に欠けている点をあげつらい、徹底して意識づけを図る手法は否定しない。だが、すでにハリルホジッチ監督が就任して1年半、弱点が改善されないばかりか、従来あったよさまで失われてしまった現在、このまま彼に指揮を委ねておいていいのか。イラク戦が、そんな不安を募らせるに十分な試合だったことは間違いない。

 ひとまず勝ったから様子を見るのもいいが、幸いにも最悪の事態を免れたからこそ、遅きに失する前に決断すべきこともある。

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