ポゼッション+ダイレクトプレー。ハリルJ敗戦も、攻撃に明るい兆し (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki  松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 やはり相手を追いかける展開は、あらゆる意味でパワーが必要になる。日本がアジアを超え、世界レベルのチームと伍していこうと思うならば、失点を減らすこと、とりわけ先に失点しないことが重要になる。

 失礼ながら、世界のトップランクとは言えないボスニア・ヘルツェゴビナでも、リードした後はしっかりと守備を固めて時折カウンターをちらつかせる、巧みな試合運びを見せてくる。こうした展開に持ち込まれてもなお、試合をひっくり返すのはかなりハードルが高い。長谷部が言うように、守備の改善は急がなければならない。

 とはいえ、個人的にはそれほど悪い内容の試合だったとは考えていない。むしろ攻撃面においては、いい兆候が見えてきた試合だったのではないかと感じている。

 なかでも印象的な場面は、試合開始からわずか15分ほどの間で2度も見られた。

 1度目はMF柏木陽介が、2度目はFW宇佐美貴史が、高い位置で奪ったボールをワンタッチで相手DFラインの背後へ送ったシーンである。

 結果的にこのふたつのパスは、前線の動き出しがなく、いずれもミスに終わった。ゴールにつながるどころか、惜しい形ができたわけでもなく、せっかく奪ったボールをあっさりと手放しただけのプレーにも見える。

 だが、これこそが現在の日本代表に見られる「変化」だ。ひと言で言えば、ゴールに直結する「ダイレクトプレーの意識」である。

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