【なでしこ】まだあきらめない。絶体絶命からリオへの道を拓く (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 初戦に比べれば攻守において連係もかなり改善されてはいたものの、後半はひとりひとりの動きが緩慢になったことでパスコースはさらに狭められ、脅威を与えるパスは影を潜めた。大儀見優季(フランクフルト)に至っては、ほぼ仕事をさせてもらえていない。ここには改善の波は及ばなかった。その要因を「点が取れないのは、フィニッシュの精度だけに片づけられない」としたのは佐々木監督。フィニッシュに至る前のパスの精度が低いのがその理由とした。確かにその点からすれば、攻めあぐねる焦りに加え、体を張った粘り強い韓国のプレスにやられた結果だ。

 一度そこにハマってしまうと、一本調子でハマり続けてしまう。試合の中で修正、変化を加えることができれば、この負のループから抜け出せるはず。そして、それはこれまでにも彼女たちがやってきたことだ。

 ホイッスルの瞬間、宮間は空を仰ぎ、膝に両手をついた。近賀は茫然自失、熊谷はこみ上げる涙をこらえていた。このとき、誰もがリオオリンピックへの道は閉ざされたと思った。直後、同時刻に試合をしていた北朝鮮と中国の引き分けの結果が届く。自力での獲得は消滅したが、他カードが潰し合ってくれたおかげで他力ながら残り3連勝すれば、切符獲得の可能性は残された。より一層厳しさは増したが、まだあきらめる必要などない。

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