リオまであと1勝。弱みを強みに、不利を有利に変える手倉森マジック (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 前線で攻守に走り回ったオナイウが語る。

「向こうはバテていたけど、こっちは最後まで走れていた。自分もかなりジャンプしたり、走ったりしていたが、よく(足が)つらなかったなと思う」

 これこそ、ローテーション制によるコンディショニングがうまくいっていることの証である。

 だが、コンディショニング成功の理由はそれだけではない。岩波が語る。

「久しぶりに120分間の戦いをしたが、西さんのご飯のおかげで足がつらずに最後まで走れた」

 今回のU-23代表には、過去にワールドカップなどで日本代表専属シェフを務めてきた西芳照氏が帯同し、日本食を提供している。おかげで選手たちは食が細くなることもなく、モリモリ食べているという。

 長い海外遠征では、当然ストレスもたまるだろう。そんななか、ひとときの楽しみとなるおいしい食事は、フィジカル面ばかりか、メンタル面でのコンディショニングにも大きな影響をもたらしているようだ。

 もちろん、いかにコンディショニングに成功したとしても、主に前半の苦しい時間帯を耐え切れなければ、自分たちの強みを生かす終盤勝負の展開に持ち込めない。

 少々押される時間帯があったとしても、「相手は簡単に点を取らせてくれないが、こっちがゼロに抑えていれば勝てる」(岩波)という自信が生まれてきているからこそ、我慢して消耗戦に持ち込める。

 手倉森監督は「最後は勝てばいいんだというメンタリティ」を、しっかりと選手に植えつけた。GK櫛引政敏は言う。

「120分間走れるのは日本人のよさ。耐えるという部分では自分たちのいいところが出せたと思う」

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