なでしこ2部のAC長野、苦境を乗り越え悲願の1部昇格へ

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 日本のサッカーが最も盛り上がる時期がやってきた。Jリーグはもとより、なでしこリーグでも、エキサイティングシリーズが始まり、優勝、降格などそれぞれが価値のある勝利を求めてしのぎを削っている。そんな中、なでしこリーグ2部で首位を走るAC長野パルセイロ・レディースが初優勝に王手をかけた。

苦しみながらも勝利を重ね、優勝まであと一歩と迫ったAC長野苦しみながらも勝利を重ね、優勝まであと一歩と迫ったAC長野 シーズン当初から勢いよく白星を重ねてきたAC長野。順風満帆な独走で、ここまでの道のりを駆け抜けたように見えるが、決してそうではない。2部はトップリーグと異なり、第3クールまで区切りなく戦いが続く。AC長野は第1クールを8勝1分けで終えると、続く第2クールでは9戦全勝という驚異的な数字をたたき出した。

 率いるのは、1部リーグの湯郷ベルを作り上げた本田美登里監督だ。2013年からAC長野で指揮をとって3シーズン目。昨年、今やエースとしてチームを牽引するFW横山久美を獲得し、一気に1部リーグ昇格が現実味を帯びた。今年もその横山が大爆発。第25節を終えて、ここまで31ゴールを挙げ、2部では断トツのトップスコアラーである。

 順調に走り続けてきたAC長野が苦境に立たされたのは第3クールから。それまで好調を支えていたのは、今オフに浦和レッズレディースから獲得したDF坂本理保、MF齊藤あかねの存在だった。守備の軸として安定をもたらしていた坂本、積極的な攻撃参加がウリの齊藤は、トップの横山までの中央軸を形成していた。ところが、このふたりがケガで長期離脱を余儀なくされたのである。

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