カンボジアにわずか3得点。日本の余裕のなさは何に起因するのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 恐れることは、しばらくの間はなにもない。泰然自若にどっしり構え、4年周期で進む代表サッカーのいまを、目標地点から逆算しながら、マイペースで歩めばいいだけの話。

 だが、次戦の戦いについて訊ねられたハリルホジッチは「アフガニスタン(FIFAランク130位)には勝つためにプレーしたい。勝利のスパイラルを続けることで自信はつくのだ」と述べている。

 弱小国に連勝することで、自信はつくのか。チームは強化されるのか。大いに疑問だ。過去の代表チームは、最終的にそれが財産にならなかった。目先の勝利に追われ、本質を見誤った。木を見て森を見ずに陥った。

 いますべきことは、本当の意味での自信をつけることだ。監督がすべきことは、このサッカーなら本大会でも行ける! との確信を、選手やファンに植え付けることだ。そうしたワクワク感、高揚感がいまの代表チームの周辺にはまるでない。崇高な目標に向かって邁進する高貴な集団の姿にはとても見えてこない。

 ハリルホジッチの采配、指導法、考え方に、選手はどれほど心酔しているのか、怪しい限りだ。勝つことでしか自信を得られないのなら、格上とは戦えないことになる。敗戦から学べないチームになる。格上と戦い、ボコボコにされれば、求心力は一瞬にして低下する――では、W杯本大会でベスト16は狙えない。

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