【なでしこW杯】宮間あやの言葉で振り返る、準優勝への歩み (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 首位通過に伴い6日間のインターバルが与えられた。佐々木監督はここでメンバーを固定してチームを引き上げにかかった。これによりチームに少しずつ変化が表れ始めた。グループリーグ3戦目のエクアドル戦直前には、攻撃の形に渋い顔をしていた宮間もここへ来てようやく手応えを掴んだようだった。

「(理想とする)攻撃の形が少しずつできるようになってきた。その形を明日は出せると思う」

 笑顔を見せた宮間の言葉通り、決勝トーナメント1回戦のオランダ戦では日本は大会に入って初めてと言っていいベストパフォーマンスを見せた。自らのアシストから生まれたゴールは、途中出場の岩渕と阪口とのコンビネーションによるもの。実になでしこらしい得点だった。それでもキャプテンは改めて気を引き締めた。

「相手が日本のイヤなことをしてこなかっただけ。最後まで何が起こるかわからないのは他のゲームを見ていても思う。自分たちがやりやすいようにやっているだけでは能力の高い選手には対抗できない。相手の取れないところ、嫌なところにパスを出すことを意識したい」

 準々決勝でオーストラリアに走り勝ったことで、自分たちの底力を証明した。準決勝では互いにPKをモノにし睨み合いが続く苦しみの果てに、オウンゴールで勝利を手にした。

「イングランドに入れてもらっちゃったな……」

 勝利への安堵と、オウンゴールを導いた手応えや、その反面自分たちの力でゴールを奪えなかったことなど複雑な表情でピッチを後にした宮間だった。

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