泣いた大儀見優季、4年間の成長。「不満も怒りもエネルギー」 (3ページ目)
「思ったようにパスがこない」。味方への不満を隠すことさえしなかった。まさに仏頂面を下げ、あらゆる場面で孤立しているように見えた。そして、苦しんでいることが全身から伝わってきた。
大儀見は、W杯ドイツ大会の決勝当日に入籍。永里から大儀見に名字が変わり、代表チームでの登録名も変えた。そのことについて大儀見は、「それくらい過去を消し去りたかったんですよ」と、ある時冗談まじりに話していたことがある。どうにかして前進しようという、意欲の表れだったのかもしれない。
あれから4年が経過した。大儀見は今、「不満も怒りもエネルギー」と笑い飛ばせる強さを身につけた。今回のW杯カナダ大会では、決めたゴールは4試合を終えてエクアドル戦での1点のみ。だが、ことさらに「自分が得点を」と口にすることはない。オランダ戦後「ミドルなどシュートが枠にいかないこともあるが」と問われた大儀見の答えは、冷静そのものだった。
「今日はウォーミングアップでも左があんまりよくなかったです(笑)。左足で持つシーンが多かったから(シュートの精度もよくなかった)。人工芝なので(感覚が)少しずれるから、無理やりシュートに持っていっているところがある。だから、そこで判断を変えてもうひとつ持ち出すなど、切り替えができるようにしないと、精度は上がっていかないかなと思います」
3 / 5