泣いた大儀見優季、4年間の成長。「不満も怒りもエネルギー」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 大儀見はかつてポツダムでリーグ3連覇、女子チャンピオンズリーグ優勝に大きく貢献し、2012-2013シーズンにはリーグ得点王に輝いた。言わずと知れた欧州でも屈指のストライカーだ。現在27歳、キャリアは中堅からベテランの域にさしかかったばかりで、今季も9試合で5得点を決めている。前所属のチェルシー(イングランド)では、女子プレミアリーグの試合数そのものが少なく、また、リーグの質がさほど高くなかったこともあって、1月にブンデスリーガに戻った。ただ、ドイツに戻ってからの日々は不本意で、苦悩でいっぱいだった。

「今、常に怒りがエネルギーみたいな感じです。どの感情もすべてサッカーにぶつけて、いい方向に行けている」

 そう語った大儀見は、目に浮かべた涙をこぼすことはなく、笑いを誘いながら話題を切り上げた。

 日本が優勝した4年前のW杯ドイツ大会の大儀見と大きく違う点があるとすれば、この「明るさと余裕」だろう。4年前、大儀見は2010-2011シーズンにポツダムでリーグ優勝して13得点を挙げ、満を持してドイツでのW杯に出場した。周囲からの期待は大きく、おそらく自負も強すぎた。

 当時、縦に速く攻め、ゴールまでの効率を優先するブンデスリーガのサッカーに慣れた彼女にとって、ポゼッションとパスワーク主体のなでしこのスタイルは、ほとんど不毛に思えた。

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