識者7人が警告「日本サッカー、今そこにある危機」 (4ページ目)

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「決定力不足」「若年層強化」に限らず、日本代表の課題はまだまだある。

鈴木正治氏(解説者/元横浜マリノス、名古屋グランパスなど)

「W杯で本気で結果を求めるならば、最終ライン、特にセンターバックの強化は不可欠。今の代表でレギュラーを務める森重真人も、吉田麻也も、日本人選手の中ではトップクラスだと思うけれども、世界を相手にした場合は心許ない。アジアカップのUAE戦でも、簡単に背後を取られていた。その対応力を見ると世界との差を感じてしまう。

 中盤から前の選手はいい選手が出てきているが、これからは本腰を入れてセンターバックの育成を考えたほうがいい。日本では、小学生の頃はセンターFWとか前目のポジションをやっていた選手が、年を重ねるに連れてDFになっていくことが多いけれども、早いうちからセンターバックとして優秀な選手を育てることが今後は必要。最終ラインの砦(とりで)、攻守の起点となるセンターバックにこそ、一番能力の高い選手を置くことが世界に近づくための重要な要素だと感じる」

平野孝氏(解説者/元日本代表、名古屋グランパスなど)

「決定力を高めるのはもちろん、引いた相手に対する攻撃パターンの確立などは、アジアカップを改めて見つめ直して、これから取り組んでいかなければいけないこと。それらについては、選手たちも十分に認識していると思う。同様に、短期決戦におけるコンディション作りについても、選手、スタッフともに、より細やかに調整していかなければいけない、ということもよくわかったと思う。

 あと、今後の反省点になったのは、コンディションが悪い時のサッカーのやり方や、選手個々のプレイ。例えば、準々決勝のUAE戦では、自分たちがイメージしているサッカーやプレイは頭の中にあっても、連戦の疲れからか、それに体がついていけていなかった。どうしても体が重たいから、一歩、二歩、個々の反応が遅れて、それが組織的なズレを生み出していた。そうして、相手ボールホルダーに対するプレッシャーも、最終ラインの裏に抜け出した選手のケアも疎(おろそ)かになり、すべてが後手に回って、何度かチャンスを作られ、失点まで食らってしまった。

 コンディションが悪いことは、試合前のウォーミングアップの時点で選手はわかるはず。その場合、選手同士で話し合って、自分たちのコンディションに応じた戦い方に変えていかなければいけない。そういうゲームのコーディネーションというか、自分の体の状況をうまく把握しながら、90分間戦う術を身につけることも必要。W杯を勝ち進んでいけば、そういう状況が必ず訪れるので、なおさら重要なことだと思う」

 今回は、識者の方々に今の日本代表、そして日本サッカーが抱える問題について、いくつも指摘してもらった。次回は、最大の問題点とされる「決定力不足」について、より深く検証していきたい。


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